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先日、クライアント先からの帰路、通り雨に合ってしまいました。

少し待っていれば雨は止むだろうと思い、私は駅前で雨宿りをしていました。



すると、見るからに"ピチピチ(新入社員)の男性営業マン"が
営業バッグを抱え、スーツがびしょ濡れになりながら
私の前を走っていきました。



その彼を見ていて、12年前の社会人一年生の自分を思い出したので、
ここで「思い出」を書きたいと思います。




私は入社後2ヶ月間の研修を終え、独り立ちをしたとき、
最初に与えられた仕事はエリアの飛び込み営業でした。



その時の失敗・成功の過程は別の回にするとして…、
やっとお客様を少しずつ獲得できるようになってきた9月初旬のことです。



日課である飛び込み営業をこなし、そろそろ帰社しようとしたある日の夕方。



汗をかきながら夕日がきれいと感じていたとき、自転車をこいでいたのですが、一気に雲がかかり、一瞬のうちに大粒の雨が…。

本当に一瞬のように記憶しています。

 

晴天だったので、その時は傘などもちろん持っていません。



持ち物といえば、自分の顔・名前が載った自家製チラシやカタログ、
顧客情報用紙、会社支給の革製営業バッグのみ。

私は会社から少し離れたエリアを任されていて、そこのテリトリーでの被災?!だったため、このまま濡れて帰るだけなのも面白くないと思いました。



その時の私はとにかく1番を目指していた"貪欲な一年生営業マン"…。

濡れながら廻ると一生懸命さはより伝わるのでは?
といやらしい考えが生まれました。



今でも鮮明に覚えていますが、その時「JAF(会員制ロードサービス)獲得コンテスト」を社内でやっていたこともあり、
名前を憶えていただいたお客様のところへ会社への帰路を外れ
びしょびしょに濡れたまま訪問。

 

ピンポーン。

「あら、酒井さんビショビショじゃないですか?大丈夫?」
 

「はい。●●様にご挨拶に伺う途中で雨に降られてしまいました…。
今日お伺いしましたのは、お車をお勧めしたいのは山々なのですが、
JAFのご案内をさせていただきたかったからです。」


「こんな雨の中…。」

 



説明⇒契約。





その後、会社への帰路は大雨が嘘のようなきれいな夕日…。





お客様へ、「ビチョビチョになっても、私はしっかりと廻っています。」
アピールです。



ベタですが、実体験です。

しかも、その日2件も成功しました。



日中、殆どうまくいかなかったのに大雨の最中1時間程で。



営業マンをやっていて、このようにうまく転がることは本当に数少ないですが、
年次が若い営業マンは可能性がゼロでない限り
無駄と思えても"1"を追いかけるアピール作業は絶対に必要です。
※社内へのアピールではありません。お客様へのアピールです。





「くだらない」と思うかもしれませんが、
"お客様に良く思っていただければ"それは成功です。



スーツをビショビショに濡らして彼はお客様のところへ行ったのでしょうか?


それとも…。



そんな通り雨の懐かしい思い出でした。