こんにちは。
先日、長年お付き合いのあるクライアントの副社長と会食をした際、
思わず胸が熱くなる出来事がありました。
今回はその出来事をご紹介しながら、改めて「返報性」と「新たに自己関連付け」
について考えてみたいと思います。

クライアントとの食事の冒頭、副社長がテーブルの上に大きな紙袋をそっと置き、
「どうぞ」と一言。
私は「え、何ですか?」と驚きつつ袋を覗くと、包装紙に包まれた箱が入っていました。
「開けてもよろしいですか?」と尋ねながら丁寧に包装紙を剥がすと、
中から現れたのは“Dom Pérignon(ドン ペリニヨン)
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多くの方がご存じだとおもいますが、高級シャンパンです。

さらによく見ると、「2010年」のヴィンテージ。

2010年は私の会社の設立年。
ドンペリステッカーアップ

2010年もの!」と私が驚くと、副社長からは「15周年おめでとうございます!」
とのお祝いの言葉が。
箱の重み、ラベルに刻まれた年号、嬉しさというよりも感動が込み上げました。

もちろん、コンサルタントとして私情を挟まず、
プロとしてクライアントと伴走することが私の責務です。

それでも、ここまで心に響く贈り物をいただくと、「この会社をもっと良くしたい」
という想いがさらに強まるのは、正直なところです。


では、客観的にみて、なぜ1本のシャンパンでこんなにも心が揺さぶられたのでしょうか。

今回は営業・コンサルの視点から、その心理的なメカニズムを少し掘り下げてみたいと思います。

まず思い浮かぶのが、以前のブログでも触れたことのある「返報性の原理」です。
人は好意や恩恵を受けると、何らかの形でお返しをしたくなる衝動に駆られるものです。
今回のように創業年のヴィンテージというパーソナライズされた贈り物には、
単なる物理的価値を超えた、「自分のことを深く理解し、時間をかけて選んでくれた」
という情緒的な価値が伴います。
返報性は行為の大きさよりも相手の気遣いに対して働きやすく、
そこに人の心が動くのだと改めて感じました。

もう一つ挙げるとすれば、「自己関連付け(Self-Reference)」という心理効果です。

人は、自分と深く関係のある出来事や物事に、より強い注意と記憶を向ける傾向があります。
創業年である2010年のドンペリは、私自身のストーリーと強く結びつき、脳裏に刻まれました。

人生をかけて会社を立ち上げた年で、私にとって非常に思い入れがある大切な年号です。

結果として、このクライアントとは創業当初よりコンサルティングを担当させて頂いており、
「この会社と共に歩んできた年月」が一本のシャンパンに象徴され、
単なる感謝を超えた共通の歴史という深い絆を感じたのです。

 

実務においても、こうした心で繋がる瞬間は、双方の関係性を一段と深くします。
提案の精度を高めたい、課題を本質から解決したい——そう思ったとき、
論理だけでは動かない場面も出てきます。
そうした局面を乗り越える推進力になるのが、「このパートナーのために、もう一歩踏み込みたい」
という感情的なドライブであり、今回の経験はまさにそのスイッチを押された瞬間でした。

もちろん、ビジネスギフトは万能薬ではありません。
過度な贈答はコンプライアンス上の問題を招く恐れもあり、何より大切なのは贈る意図の透明性です。
とはいえ、人と人が協働する以上、最終的に成果を左右するのは信頼共感です。
贈り物の価値とは、モノそのものではなく、「あなたを大切に思っています」
という気持ちをどう表現するかにある——そのことを今回改めて実感しました。

この体験を営業・マネジメントの現場に置き換えて考えると、学びは大きく3つあります。

一つ目は「相手のストーリーを知ること」。
創業年や節目の出来事、その背景にある想いをリサーチし、
対話に織り交ぜるだけでも関係性は大きく変わります。

二つ目は「タイミング」。
15
周年という節目に合わせ、価値が最大化する瞬間を逃さず届けることで、
相手の心に強い印象が残ります。

三つ目は「等身大の誠実さ」。
(今回は非常に高価な贈り物をいただきましたが)高価である必要は決してなく、
相手の価値観や背景に寄り添い、小さくても深い意味を込めることこそが、
長期的な信頼につながるのだと思います。

営業とは、売ることではなく信頼を築くこと。

今回のドンペリは、その本質を身体で理解させてくれる出来事でした。
コンサルタントとしてデータやロジックを磨くのは当然ですが、
それと同じくらい「相手の成功を共に喜ぶ姿勢」や「節目を祝い合える人間味」
も大切にしていきたい。
そう心から感じながら、箱をそっとオフィスの棚に飾りました。
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15年という時間は、振り返ると本当にあっという間でした。
だからこそ、これからの15年もクライアントと肩を並べて歩み、
またいつかこのドンペリを開けながら笑い合える日が来たらいいなと。
そんな未来を描きつつ、今日もクライアントの課題に真摯に向き合っていこうと思います。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。



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